東京からUターンで広島市へ、そして江田島市内の病院に勤め始めた佐久間さん。当時はバンド活動をしたいというのが大きな理由で、広島市内に住んでいました。
「江田島市への移住は、娘の入園のタイミングに合わせてですね。」
自然豊かな環境の中で、のびのび育てたいという夫婦の意見が一致したことと、職場が江田島市なので島の生活環境や地域の違いなども既に知っていたということで、スムーズに移住の決断に至ったそうです。
「結構古い家だったけど、好きなように修理すればいいかなと考えました。」
仕事の合間に、沖美町に絞って物件を探すこと約二ヵ月、島の不動産屋さんのサイトで見つけた空き家を購入。いろいろ考えて修繕やDIYをしたその家は、室内にブランコがあるなど遊び心満載に仕上がっています。
「近所のおじいさんやおばあさんが、庭先まで来て話しかけてくるのには、びっくり。」
島で暮らし始めた当初、奥様は人との距離感に戸惑ったそうです。しかし、親しくなるにつれ、子どもを見てもらったり、野菜や魚のおすそわけをもらったりと、とてもいい関係になっていったそうです。
「ご近所さんとはすぐ仲良くなれました。そして、パパの友達のおかげで私も同世代の友人がすぐにできたのも良かったです。」
そこで、佐久間さんの友人関係を具体的にを聞いてみると、驚きの交友関係の広さでした。
「仲良くなった患者さん(佐久間さんは医療従事者)、子どものパパ友、Etajima Sea Supportというライフセービングや海遊びをメインに活動している団体のメンバー。あとイベントで知り合った音楽関係の仲間ですかね(笑)」
「畑、釣り、SUPに音楽。家族との時間も増えて最高ですよ。ご機嫌な日々を過ごしています。地元の人はもっと島の価値に気づけば良いのに。」
島での生活をしっかり満喫している様子の佐久間さん。島での暮らしのすばらしさを実感されています。しかし、子ども達や市の施設など将来には不安もあるようです。
「自ら望んで来た場所なのですが、過疎化が進む中で、学校や病院やお店などが、競争心やもっと良くしようという向上心が無くなっていくのではと考えます。サービスの質が下がったり、最悪の場合は無くなるのではないかと心配ですね。」
奥様は、島の教育への期待や、田舎で育つことへの不安を話してくれました。
「自然の中でのびのび育てたいと望んできたので、保育園や小学校でもっと野外授業などあればいいのになあと思っています。その一方で、娘達が市外に出たときに、まちの子ども達についていけるかどうか不安はありますね。」
「私の欲しいものが買えるように、そして、みんなにも使ってもらえるように。」
奥様は移住4年目に雑貨店をオープンしました。
以前から手づくりのバッグや服をネットで販売していたそうで、それに加えて島内では売っていない雑貨や香辛料などを仕入れて販売しています。
「島にはおいしい食材がいっぱいなので、旬のものを色々な料理で味わえたらいいですよね。他にも、まだ販売には至ってませんが、少し長い期間保存できるような野菜や果物の加工品づくりにもトライしています。お友達と作り方とかもシェアできたらいいなあ。」
島の食材をみんなで美味しく食べたいという思いから、香辛料などの調味料なども販売する雑貨店にしたそうです。
家庭菜園もされているとのことで、畑に向かってみると、野菜やイチジクだけでなく、なんと鶏を5羽も飼っていました。
「卵もうちでとれるんです(笑)」
さすがに鶏を飼っているのは江田島市のスタンダードではないですが、家族で自然を目いっぱい楽しむ佐久間ファミリーに脱帽です。
「ぼちぼち、友人と魚釣りに行ってくるんで。」
佐久間さんのこの一言でインタビューは終わりとなりましたが、ご主人、奥様、二人の娘さん、皆さん今の暮らしに満足していらっしゃるようでした。
<2021年1月掲載>
私の住んでいる地域は江田島の西海岸(笑)と言われるところですが、自然と景色は抜群ですよ。お店も少ないし、交通の便も悪いですが、それ以上に価値のあるところだと思ってます。
自分達のライフスタイルに合わせて、DIYするのも楽しいです。とは言え、お風呂とトイレは業者さんに頼んだのですが、思ったよりお金かかりました(苦笑)。
家の購入費用だけでなく修繕費やDIY費用も含めて考えれば、選択肢も広がるかもしれないですね。