江田島市の中で、いち早く移住者を意識した地域、沖美町の沖地区。その中で、地域の人たちの繋がりを大切に活動してきた『沖まちづくり協議会事務局』の空本さんと下霜さんにお話を伺ってきた。
過疎化が進む江田島市がすすめた地域コミュニティを支える地域団体の整備活動で、2010年4月に沖まちづくり協議会は設立された。当時、沖地区は江田島市の中でも過疎先進地域でした。そこで協議会は5つの自治会、女性会、老人会など各種団体が連携をとって地域力を高めることを目的に設立されている。「はあ13年経つじゃろう。次世代へバトンタッチしたいんじゃが」とふり返った。
新しい団体としてスタートするにあたり、活動の目的を『生まれ育ったふるさとをほこりに思えるまちづくり!』とみんなで決めて、自治会と違う視点でどのような活動をしていくか協議したそうだ。その際4つの活動視点を決めている。
①地域の様々な問題を共同の力で解決し、生活の豊かさを実現する組織。
②イベントから地域のつながりの構築を図る。
③地域団体との連携を図る。
④子供は地域の宝。子育ては地域の営みの視点で活動を図る。
この4項目を重視して『沖まちづくり協議会』の運営はスタートしている。
過疎先進地域とはいえ、海が一望できて景色のすばらしい沖地区は、今では移住者に人気の高い地域だ。そういった「移住者という新しい血と地元の人の交流は難しいんよ。最初はこっちもどういう対応や案内をすれば良いか困ったもんよ。」と素直な胸のうちを明かしてくれる。
もともと江田島市の人々はどの地域においても、排他的だったので、当初の苦労は想像できる。しかし、当時の努力の成果は実を結びつつある。移住してきた家族との交流も少しづつ増え、子どもたちの声も増えているという。「13年経つんじゃけん次世代に任せんにゃあの~」これからの沖地区を見据えて異口同音に二人はつぶやいた。
4つの活動視点のなかでも、年に4回のイベントは特に大切にしているという。「地元の人、移住して来た人、各自治会や各種団体、それぞれ同じ地域に住んでいても、それぞれ”こだわり”があるけんの~。地域のイベントで顔を合わせることで、少しでもお互いを知れば、地域の問題も一緒に取り組めるようになるし、みんながこの地域をほこりに思えるようになるじゃろうと考えとるんよ」
1月のとんど祭り、3月の花見、11月のえたじまオリーブミュージアム、12月のイルミネーション点灯と、子どもからお年寄りまで楽しめるイベントばかりで、地元の人も移住して来た人も一緒に楽しめる交流の場になっているようだ。
なかでも、えたじまオリーブミュージアムは沖まちづくり協議会最大のイベントで、沖地区だけのものから江田島市のイベントになりつつある。
2011年に江田島市のオリーブ栽培振興事業が本格的に始まり、振興事業の普及を促す取り組みとしてスタートさせている。事実、その後の沖地区はオリーブ栽培は盛んな地域となり、町を歩いてみると、あちらこちらにオリーブの木がある。
イベントは、鹿田公園の広いグランドにステージを立てて催しを行い、周囲にテナントを出して秋の休日を地域のみんなで楽しむものだ。もちろん、オリーブの苗木の配布や収穫されたオリーブの商品なども並ぶ。「オリーブ姫を地元の女子高校生にやってもらっとるんよ」ふるさと教育もしっかり行われているようだ。
西日本豪雨災害とコロナ禍において開催を断念した年もあり、昨年11月の第10回は3年ぶりの開催。「昨年はまだ(コロナ禍で)自粛するイベントも多かったけん、開催するかどうか、みんなで悩んだ。じゃが我々も心配や不安はあったが、やって本当に良かったわ」と話す。多くの人が集う久しぶりの交流イベントは大盛況だったそうだ。コロナ禍で協議会が最も重要視していたイベントが出来ない状況だったので、地域交流におけるイベントの効果を改めて感じたという。
「はぁ疲れたわ(笑)」冗談のあと続けて「がんばってきたけど、役員のメンバーが変わらんと、マンネリ化して協議会自体が駄目になるんよ。子育て世代にイベントに参加してもらいたいけん、若い世代にやってもらわんといけんのよ。」
生まれ育ったふるさとを誇りに思える沖地区のまちづくりは、小さな子どもから高齢者まで交流するイベントで繋げていくという、強い意志を感じる下霜さんの言葉で取材を終えた。
<2023年3月掲載>
江田島市の沖地区に移住して来られたら、住まわれる地区の自治会(大王自治会、岡自治会、 畑自治会、是長1自治会、是長2自治会)に入ってください。一緒にイベントを楽しみましょう。会える日を楽しみにしています。